医療費増大、少子高齢化により、国策として入院医療から在宅医療への流れが進んでいます。
こうした状況下でも、病院薬剤師のニーズは高まっており、厚生労働省の統計(平成30年12月31日現在)では、全国の届出「薬剤師数」は311,289人、うち「薬局」勤務が180,415人、「医療施設」勤務が59,956人となっており、病院勤務、微増しています。
つまり薬剤師が医療に貢献していることを意味しているのです。
今後はチーム医療だけでなく、地域包括ケアシステムの推進により、地域の介護施設や薬局などとの連携も活発になっていくとみられています。
病院薬剤師と薬局薬剤師、またはケアマネジャーとの連携が重要になるということです。
またがんや糖尿病の病棟では、高い専門性を持つ専門薬剤師、認定薬剤師の配置が増えてきました。
幅広い業務を担う病院薬剤師ですが、薬剤師としてどの方向に進んでいくのかキャリアパスについても検討する余地があります。
病院薬剤師の業務の中心は、調剤、製剤、注射剤調剤です。
そのほか、外来化学療法室業務、病棟薬剤業務、薬剤師外来、救急救命(ICU)調剤、医薬品情報(DI)業務があります。
治験業務は高いコミュニケーション能力が求められますし、救急救命業務は医師の指示で、迅速に適切な薬や投与量、投与方法を準備する重要な業務です。
薬剤師としての様々な専門性を高める機会が多くあるのが、病院薬剤師だといえるでしょう。
病院には患者さん以外に、医師や看護師、救急救命士などの医療従事者CRA (臨床開発モニター)など製薬会社の担当者など様々な人が出入りしています。
チーム医療はもちろんのこと、臨床医療に携われること、最先端の医療現場で働くことができれば、勉強が必要になる一方で、薬剤師としてのやりがいを感じられることが多くなるでしょう。
病院薬剤師は平均的に給与が低いのですが、長く務めることで昇給していきます。
病院薬剤師は調剤薬局、ドラッグストア勤務の薬剤師より、平均給与が低いというデータがあります。
したがって、転職すると給与が下がるかの世があります。
また病院は、夜勤者が毎日必要なところや、オンコール体制をとっているところなど様々です。
夜勤当番が頻繁に回ってきたり、終業時間間近に処方箋が大量に届くなどして残業が増える可能性があります。
給与や夜勤、残業については、転職前に詳しく調べておく必要があるでしょう。
転職については、全体的な求人自体が少ないこともあり、調剤薬局やドラッグストアと比較すると難易度が高いです。
特にスキルアップできる急性期病院、大規模病院は難しい傾向があります。
スペシャリストを目指すなら急性期・大規模病院が、ゼネラリストなら中小・慢性期病院を目指すのがよいでしょう。
ただし、上述のように急性期・大規模病院は難易度が高く、求人数も少ないことを念頭に転職活動することをおすすめします。